2022/11/21

『Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本』を読みました

こんにちは、kiwiです。

書評記事というものは書いたことがなかったのですが、せっかくの個人ブログなので、感想を発信してみようと思います。今回は『「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本』という書籍の感想です。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0BJDFYP72/

前段

Google Analytics 4 (GA4) について

GA4は、従来のGoogle Analytics(ユニバーサル アナリティクス)の後継として2020年にリリースされた、Webサイトやスマートフォンアプリのアクセス解析ツールです。2023年7月1日からユニバーサル アナリティクスでの計測が停止、サポートが終了されることになったため、後継であるGA4に移行を進めている方も多いと思います。

私について

私の本業はWebエンジニアです。業務の中でGA4移行の実装レビューをしたり、また個人で運営しているサイトのGA4移行を行う必要があります。そのため、GA4の機能やユニバーサル アナリティクスとの違いなどを知りたいと思い、まとまった情報を探していました。(すでにある程度知識があるという意味では、書籍の想定読者層からは若干ずれるかもしれません。)

この本について

この本を執筆された小川卓さんは、Webサイトやサービスの分析のコンサルティングや講演のほか、『はじめに』にも記載されているGoogle Analytics 4 ガイドという情報サイトを運営されています。

小川さんは私が勤めている会社の社外取締役であるというご縁もあり、今回この本を読んでみました。なお、今回は電子版を購入しています。

全体的な感想

GA4で見ることができる画面、機能、設定などがスクリーンショット付きで細かく紹介された「GA4の取扱説明書」というのがこの本の一番の印象です。

紹介されている内容自体はGoogle Analytics 4 ガイドと概ね同じ(加筆などはされています)なのですが、一つの書籍としてまとめて読めるのはメリットだと感じました。そういう意味では、電子版よりも書籍版の方が使い勝手が良いかもしれません。用語集もついていて、GA4で分析をする際に手元に置くと良さそうです。

また機能名だけでなく「その機能が何に使えるのか(主にどんな時に使うのか)」「やりたいこと」がすべての章のタイトルに併記されているので、やりたいことから逆引きでGA4の機能を確認するために活用できます。

例えば「内部トラフィック」という設定を説明した章には「特定のIPアドレスからのアクセスを除外したい!」のように、その機能がよく使われるユースケースが記載されています。これらの目的のみをまとめた目的別インデックスのページもあるため、やりたいことから機能を探しやすくなっています。

Chapter 7『GA4を活用した分析手法』

Chapter 7は、分析する際に有用なおすすめのカスタムレポート・探索レポートの紹介(7-1, 7-2)と、実際にGA4を使ってサイトを分析する手順例(7-3)からなる章です。特に7-3の分析例はほかの章と毛色が異なり、実際のサイト分析の様子を追体験するような内容でしたので少しご紹介します。

Chapter 7-3では、6つの分析方法が紹介されています。(書籍では6つが並列に扱われていますが、わかりやすさのためカテゴリーを2つに大別しています)

  • 分析の目的別の手順例
    • 数値の変化を特定する(M月N日にユーザー数が増えたのはなぜ?)
    • 実行した施策を振り返る(ページ改修施策の効果はあった?)
    • サイト全体を分析して課題を抽出する
  • サイトのジャンル別の分析例(コンバージョンを増やすための分析)
    • ECサイトの分析
    • BtoBサイトの分析
    • オウンドメディアの分析

分析の目的別の手順例のうち『サイト全体を分析して課題を抽出する』という章は、分析の目的を決めるところからスタートし、GA4以外のアプローチも使いながら、サイトを分析して施策を考えるという骨太な内容です。ここだけで一つ章を立てても良さそうなボリュームでした。突然GA4を渡されてサイト改善を命じられ、右も左もわからずGA4の画面とにらめっこしているような初心者の方は、一度目を通してみると参考になると思います。

後半のサイトジャンル別の分析例については、それぞれのサイトを改善するときに最初に見るべきポイントが記載されています。もちろんここに書かれている内容だけを見ればよいというものではありませんが、おすすめレポートの章と合わせて、サイト分析の最初のとっかかりとしてここに書かれたデータから現状把握をしてみると良さそうです。

Chapter 8『他ツールとの連携』

Chapter 8では、GA4とほかのGoogleのサービスを連携して分析を行う方法が掲載されていますが、GA4ガイドの内容に加えて、書籍では「Googleデータポータル」との連携方法が詳しく掲載されています。

Googleデータポータルは、GA4やそのほかのデータをもとに様々な形で可視化したり、それらをまとめて共有用のレポートを作成するためのサービスです。上司や社内のメンバーとサイトの状況を共有する際などに便利で、GA4と合わせて利用すると社内共有をスムーズに行うことができるのですが、この機能の連携方法についても紹介されているのは良いなと感じました。

書籍ではほかに「Google Optimize(A/Bテストツール)」「BigQuery」「Googleスプレッドシート(BigQuery経由)」との連携についても紹介されています。

最後に

簡単にではありますが『「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本』について紹介しました。前半の各機能については実際に画面を見ながらの方が理解しやすいと思いますので、自社のサービスの画面やGA4のデモアカウントなどを開き、実際に操作しながら読むと良いと思います。

GA4について概要を掴めたので良かったのですが、個人的なニーズで欲を言うと、7-3のサイトジャンル別の分析例についてもう少し掘り下げて知れると良かったなと思いました。特に、GA4(などのサイト分析ツール)を導入するにあたり、最初に設定しておくべきイベントなどがあると、自分のサイト計測の設計の参考や抜け漏れの確認に活用したり、現状把握や施策の検討がしやすくなるように思います。

従来のユニバーサル アナリティクスでメニューとして用意されていた「ユーザー」「集客」「行動」「コンバージョン」などの分析の切り口がなくなり、GA4では自分で必要なものをレポートや探索で作っていくというスタイルに大きく変わりました。この本に紹介されているレポートやセグメントの作成例やその作成手順を参考に、GA4に慣れていきたいなと思います。

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